ONE VOICE

     * ONE LOVE + ONE LIFE + ONE VOICE *        笑っていれば、イイコトあるよ  

蓮華

夢は思っていたよりも
実はあからさまに遠く
手を伸ばしたくらいで
届くような代物じゃなかった

恋は思っていたよりも
実は限りなく複雑
一歩踏み出したくらいで
幸せになれるはずがなかった

そんなものがなくたって
生きていけることは知っているけど
思い知らされる
中身の入っていない空き缶のように

かぜに吹き飛ばされて
存在したことさえ忘れられてしまえば
自分の未来も誰かの気持ちも
何も思いやらずに
限りなく安らかな色のない世界におちていける
それができないのは
それができないのは

きみは思っていたよりも
ホントはけっこう曖昧で
確かなものを手にしたいあたしは
その不完全さをどうしても愛せなかった

人はいつも独りぼっちだって
誰かが淋しいことをそっと口にする
あたしだって知ってる
どんなに近くても間に存在するゆるぎない何か

それほどまでに確かなものが
この世に存在するのならば いっそそれが
あたしの必要とするものであればいいのに
願ってしまうのに
ゆめにまで見て 涙さえ流して
それでも手放して
知らぬふりをして

恋の花畑には確かな傷痕が残り
春が確かに来たことを
人々にそっとでも確実に伝えてく
忘れることもせず忘れてしまえるようなことなら
誰もこんなに泣いたりせずにすむのに
それができないのは
それができないのは
手を離して知らぬふりをして
多分まだ生きているから