考えがまとまってる訳でもないんですが、この機会を逃したら一生書けない気がするので、書いときます。
「バカにされながら仕事をするのがすごく面白い」
このすごく面白いと言った部分がものすごくリアルで一番印象に残っているんですが、情熱大陸というこの番組全体を通して伝えられたにのみやかずなりという人物はなんだか正直すごく矛盾のカタマリのように私には思えました。これはちょっと自分では意外だったのね。
にののプロのアイドルであることへのこだわりというのは前から知っていたつもりだし、ベルリンに届けられた手紙のエントリーでもお話したように、彼のベルリンでの発言は前から知っていたので、俳優とは違うというこだわりもそれなりに分かっているつもりでした。特に俳優というカテゴリーに対しての意固地なくらいの反発感っていうのを私は感じていたんですが、でもそれは単なる漠然とした理由のないこだわりから来ているのかと私は思っていて、二宮的思考によるアイドルという仕事がどういうものなのかを全く理解していなかったようでした。
「自分の考えを殺す」
二宮的思考によれば、アイドルというのは監督と視聴者の間における湾曲のない媒体でなければいけないようです。「やっかいだ」というのは、自分の考えができてしまうと、監督の持っているビジョンに近づけなくなってしまうということなんだと私は理解しています。様々な監督に絶賛されてきた二宮くんですけど、PVであろうとドラマであろうと、俳優と呼ばれることを嫌がる以上、そのスタンスは同じで、求められるものを求められたようにこなす、「空気の読める」アイドルこそが、きっとプロのアイドルであるというのが、おそらくは彼の持論なんだと思うんです。
さて、これは非常に古来の日本に近い考え方のような気がします。言われたことを疑問を抱かずに素直に実行する。口答えをせずに、言われたとおりに間違いなくやる。そういう意味では彼は間違いなくプロのアイドルだし、求められていることを察知する鋭い洞察力があって、言われていることを噛み砕き理解して、実行に移せるという意味でものすごく頭がいいに違いないんだろうと思うんです。しかし私の記憶にある限りでは、二宮和也くんは昔は演出家になりたくて、しかもアメリカに来たかったという過去があるはずなんですよね。しかもそれは嵐になる直前まで、実現されるはずの夢だったという。
私の思う演出家って、他人の思いを汲み取って体現する俳優よりも、能動的に表現したい思いが強い人ってイメージがあるんですね。ここはこうしたい、あの場面はこう伝えたい、というような仕事が演出家でしょ? そして、こうしてくれという指示も束縛もなく、自分らしさで勝負して、それがダメだったらぽしゃる、というのはアメリカの得意分野であるはずです。アイドルであることをプロとして一流にこなしている彼は、むしろまるっきりその逆のところにいるように思える。
考えを殺すということは、殺される前の生きている考えがあるわけで、決して意見がないわけじゃないんだと思うのね。それを分かっていて、あえて押し込めるプロのアイドルである自分がいるから、そんなことも知らない輩にバカにされるのが愉快になるのかなと思ったの。バカにされるということは、実際を知られていないということで、それはつまり、プロのアイドルとして最高の仕事をしている証拠であるわけだからさ。真実は自分ひとりが知っていればいいと思っていそうな人だから、結局分からないと思うけど、ただね、嵐のみんながそれをどう思っているのかが、私はすごく興味があるんですよね。
だって潤くんとかは、結構自分の意見をガシガシ言うタイプだと思うの。それはそれでプロだし、グループにひとりはそういう人がいないとダメだと思うけど、確実に潤くんとニノのアイドル論は交わってないと思うのね、この点では。そもそもゲームをひたすらやってるニノというのはいつぐらいから始まって、嵐のみんなはそれにどういう反応をしたんだろう。だって楽屋でならともかく、現場でもずっとやってるメンバーを許容するっていうのは相当の理解が必要じゃない? 情熱大陸、今回初めて見たけれど、もちろん相葉ちゃんとか、むしろ大野くんとか、絶対付いてくれたらすごく嬉しいけれど、やっぱり一時間枠で嵐というグループをぜひ追って欲しいなと、改めて思いました。
まぁ、結局やっぱり何が言いたかったのかよく分からないエントリになってしまいましたが、ニノが演出をいつか担当することができるとしたら、ぜひそれを見てみたいなと思うのね。アイドルでないニノとその思想が前面に押し出されてるようなものを見てみたい。二宮和也の本音はきっとずっと聞けないんだろうけど、彼の考えや思うところは、間違いなく深くて面白いと思うんだ。今までそれを本気で発揮することを自分に許していないだけで。それを楽しんでる部分があると思うけどさ。この人とサシで飲んだら、相当面白いんじゃないかという、ぐだぐだな結論で、考察を終わります(笑)。