ONE VOICE

     * ONE LOVE + ONE LIFE + ONE VOICE *        笑っていれば、イイコトあるよ  

What's Eating Gilbert Grape

1993年。邦題:ギルバート・グレイプ
Starring: Johnny Depp, Leonardo DiCaprio, Juliette Lewis
Directed by: Lasse Hallstrom


どれだけ考えても、どうしても書けなかったこの映画のレビューを書きます。
今だから書きます。

私の人生で、一番の映画です。
これから回り逢う、たくさんの素晴らしいどんな映画も
太刀打ちできないだけの想い入れがある。
魂が揺さぶられるんです。
これを見ると。
悲しいとか、淋しいとか、切ないとか。
そういうことではなくて。
ただ、とても涙がこぼれる。

毎回、見るたびに違うシーンで目頭が熱くなります。
一年前に見たときには平静に見ていたシーンで、今年は泣けて泣けてしょうがなかったりする。
人間は変わるものなんだ、と思う。
変われるんですよ、人間は。成長する。大きくなる。強くなる。たくましくなる。
たくましくなれる。
けれど人間は繊細だ。
だから弱い
本質で弱い。
だから弱くあり続ける。
どれだけ成長しても、私たちは弱い。

失えない人間の弱さを、その全てを
愛してくれる映画だ
と私は思っています。

淋しいといえなくても、
いやだといえなくても、
私たちには生きている人生がある。

うまく笑えなくても、
泣きたいときに行く場所がなくても、
無感動には生きていけない人生がある。

許されても
傷つけても
私たちは生きてる。
出逢っても
別れても
私たちは人生を生きてる。

謳歌していいんだと
全ての弱さを包み込んでくれるだけの優しさがあります。
泣きながら笑ったっていいんだと
全ての矛盾を許してくれるだけの暖かさがある。

ぱらぱらと散りばめられた人間の弱さを
すこしずつ拾い集めていく物語は
見るたびに美しい。
けれどこの映画のほんとうに凄いところは、
そうして紡ぎだされていく未来が、私たちの誰にもあって、
それを生きていくだけの強さがある
ということを描いているところだと思うんです。

繊細であるが故の弱さを。
繊細であるが故の強さを。
どちらも兼ね備えて、私たちは生きていくんだ。
という意志のある物語。

私はそういう人間でありたい。と思っています。


パチパチする