ONE VOICE

     * ONE LOVE + ONE LIFE + ONE VOICE *        笑っていれば、イイコトあるよ  

鯨にでも鷲にでも

猫が虎になるとか、犬が狼になるとか
その程度の計算でしょ?
猫が鯨に、犬が鷲にとは考えないでしょ?

そんなかたい頭で・・・
半年後の比呂が計算できるもんか     あだち充「H2」より


錦織圭くん、デルレイ優勝、おめでとう。
SAP一回戦もついさっき勝ちました。おめでとう。
次はおそらくAndyです。楽しみだな。

勝ち上がっているのは知っていたものの、週末は出張で見られなかったので、念だけ飛ばしておりました。月曜日に母からケータイにメールが届き、びっくらぶっこいて、慌ててルームメイトに電話して、再放送の録画を頼んだ次第です。

圭くんを初めて見たのは去年の夏。
彼が初めて本選入りしたUCLAの大会。
あの時は初戦で負けてしまったけど、予選をいくつか見て、なかなか凄いテニスをするじゃないの、と思っていました。身軽で足も速く、音も立てずにコートを移動する様はちょっとRogerっぽい。気付いたらもうそこにいる、的な頭にくる移動の仕方です。相手をネット際におびき寄せては、計りきったようなパスで抜いて見せたり、足元を突くいやらしいストロークを返してみたりする。ウィナーも多く、非常にクリーンでクレバーなテニスをする子だな、と思ったわけです。言い換えれば小賢しく清潔なテニスです。その時は、そこに強さを見ることはなかったし、特にサーブがまだまだ戦い抜くにはパワー不足といった印象がありました。

ただ、見ていて飽きない選手だなと思ったんです。
時折へんてこなプレイをするんですよ。彼。
サフィンみたいに、「何でそこでそんなことを!」というようなプレイが時々ある。
試合それ自体が一方的でも、彼の点の取り方が面白くて、次の試合が楽しみになる選手でした。
それが、半年前。去年の夏の出会いでした。

昨日の夜帰ってきて、ブレイクとの決勝を見ました。

半年で、猫は鯨になります。
犬だって、鷲になる。
若いとは、なんと恐ろしきことよ。

去年「お~なるほどね~」と思って楽しんで見ていた、彼の奇想天外なプレイが、「えーなんでー!」というレベルに変貌を遂げていました。いったい何を考えてボールを打っているのかがさっぱり分からない。あるはずのないアングルでボールが返るんです。何でそんなトコに打つの? なんでボールはそんな動きをするの?

「あんじゃそりゃ」としか言いようのないプレイが、得体の知れないリズムを奏でては、だんだん訳が分からなくなってしまったブレイクの意気をどんどん消沈させていって、結局圭くんが勝ちました。ブレイクは確かに自滅エラーもあったし、セカンドセットからはサーブも入らなくなりがちでしたが、突き詰めたところで言えば、完全にリズムを狂わされてしまった、としか言いようのないプレイでした。タイミングが掴めない。読めない。分からない。挙句の果てには観客ですら、誰を応援したらいいのやらよく分からなくなってしまい、どっちつかずのまばらな拍手ばかりの試合に成り果ててしまって。アメリカのハードコートでアメリカ人が決勝に出ているのに、あんなに盛り上がってない試合もそうあるものじゃありません。会場の全ては謎に包まれているようでした。錦織圭は、半年の間に、面白君から不思議君に変身していたんです。固い頭じゃ、計算できなかったぜ。

Tennis Channelで見たんですが、試合前には自国のブレイクを絶賛し、楽勝を疑ってやまなかった実況と解説が、どんどん圭くんを誉めざるを得なくなっていく様が、非常に滑稽で気持ちがよかったです(笑)。第3セットの中盤頃には、圭くんについて言えること全てを言い尽くしてしまった感すら漂っていて、沈黙が続き、時たま圭くんの「えー!」というプレーに素で驚いては、完全な観客に成り果てていました。

あまりにも洗練されていない優勝スピーチが面白すぎて、私は大爆笑でしたけれども。周りの何もが見えていない彼の、極限の焦りと緊張がビシバシと伝わってきました。セレモニーの段取りも何も分かっちゃいなくて、必死でその場を凌ごうとしてたのがかわいかったです。非常に18歳でした。

去年の夏のエントリでも書きましたが、非常に普通で、まるでアスリートには見えない方です。負けん気とか、意地とか、そいういう言葉と全く縁のない雰囲気です。試合直後もぽわっとしていて、今までガンガンボールを打ってたあの子はドコへ行っちゃったの?と問いたくなる。今にして思えば、周りのテンションで振り回されたりしないタイプなんでしょうね。非常にテニスに向いているタイプというか。自分の頭のなかできっと大切なことと、そうでないこととが分類されていて、今本当に重要なことだけに熱中してしまうタイプ。それだけにコートに立つと、きっと解放されるのかな、と思うんですよね。やりたいことだけを、やりたいようにできる空間と言うか。気にしなくていいことを、もう何も気にしなくて良い自由がそこにあって。独創性を突き詰めていってる感じがします。強くなることに、きっとコーチが必要だけど、巧くなることに関しては才能が備わっているんじゃないかと思うんですよね。

今日これからAndyがバカをしでかさなければ、明日圭くんはAndyとです。
いったいどちらを応援したら・・・と途方に暮れてもみますけど、楽しみでしょうがないというテニスファン心理は抑えきれず、すでに今からドキドキワクワクです。完全なる対極がぶつかるなんて、想像しただけで面白い。剛と柔。パワーとカウンター。リズムこそ全てのAndyと、リズムクラッシャーの圭くん。

一応Andy応援で行くつもりです。5年も応援している彼をここで見捨てたりできません(苦笑)。そして対戦相手としての錦織圭に興味があるので。ほんで、敵としての彼に「あんじゃそりゃー!」と文句を垂れたい(笑)。

あ、Andyの試合が始まった。・・・頼むから勝ってくれ(苦笑)。


圭くんにパチパチする


2/18 かえるやんさん>後ろ向きにょきにょき智、確認いたしました(笑)。あれって左右も逆になるってことでしょう? きっと大丈夫でニノもやっていたけど、たて一列のフリで最後尾の人って後ろ向きになるとなにかいいことあるのかしら(謎)。今回のアイバは天使を通り越して神です。スゴイ。ホントに。

2/19 スピルリコさん>悲鳴をあげているヒマもありません(涙)。どこから喜んでどこから萌えたら良いのかがさっぱり分からない(苦笑)。もうなんかされるがままという感じですよ。踏みつけられて行かれてしまう。とてもじゃないけど追いかけられない(涙)。もう引き摺られてるだけで精一杯です(笑)。圭くんすごいですよね~。日本ではものすごいらしいですね。アメリカにいてよかったのかな、と思いますよ。

2/20 ミケさん>ごぶさたでー^^ 怒涛すぎてカンベンしてくれ(平伏)。右手分かってくださって嬉しいです~。あの感じ、好きだわ~(笑)