ONE VOICE

     * ONE LOVE + ONE LIFE + ONE VOICE *        笑っていれば、イイコトあるよ  

SN: 5x04 The End

ここ最近Supernaturalのエントリが多いのですが、
訪問者だけでなくて、はくすも最近増えているのです。

今日はじめて知ったのですが、蔦屋さんの面白い海外ドラマランキングとかで、
SNがなんと24やPrison Breakを抑えてまさかの1位に投票されたそうで(爆笑)。
私、自分でこれだけ嵌まっておきながら、どうもSNを馬鹿にしている傾向があるのですが、
そんなに人気があるの?(笑)

このブログに来て下さってる方の中にも、
Roxieさんががあまりにも騒ぐから、ちょっと観てみたら面白かった、
とおっしゃって下さっている方も実は結構いらっしゃるのです。
私、貢献してる?(笑)
まだご覧になっていない方も、ちょろっとおヒマな時に思い出して暫く観てくださると、
このなんともいえない不思議な「うっかり面白かった」感がよく分かると思います(笑)。

さて、そんなこんなで、SNまだ初心者の方で来訪して下さってる皆さま。
こちらは、
*Supernatural Season 5 (日本ではまだ未公開)の Reviewです。*
*ネタバレあります。*
*避けてらっしゃる方は以下ご注意。*


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うーん、ちょぉっとセリフが多かったかな~、というのが正直な直後の感想です。出だしと最後のSam&Deanの会話がちょっと歯の浮く感じがしました。誤解を恐れずに言えば「愛し合ってるのは分かってるから、黙ってやってくれればいいのよ」という感じです(爆笑・Can't believe I just wrote that.)。でもDeanが謝ったのは大きいと思う。物凄く漠然とした何かを謝っている、という感じではあったけれども。Deanは赦しながら生きていく生き物なのです。赦すというのがおかしいのなら許容する、というのでもいい。Samの判断や行動のことごとくが結果として大きく間違っていたのは確かだけれど、歩み寄ろうとする人間を撥ね付けるDeanはDeanじゃない。しかも歩み寄ってきている人間がSamならなおさらです。一年以上前になりますが、私は4x01のReview ← で、Samが本当にDeanから聞きたいのは"I forgive you." という言葉だ、と書きました。与えられなかったその赦しを、SamがDeanの大きな括りでの謝罪の中にみてとってくれたらいいと思う。

さて。
出だしの電話での会話、Sam側の通り過ぎる灯りのタイミングが素敵過ぎてやばかった。素晴らしいタイミングで赤いライトを通り過ぎるのです、彼は(笑)。"Redemption." とかね、もう最高。

Deanが電話口に向かって言い聞かせているセリフは、s1のShadowで本人が言ったセリフとほぼ同じであり、Dead Man's Bloodで父親に向かって言ったセリフと真逆です。家族を想えば弱くなる。家族は共にいてこそ強い。Deanの中には常にこの二つが同居している。断定的にはなれなくて、迷いもあれば矛盾もある。Dean Winchesterが魅力的な理由はそこにあります。無敵に強いのではなく、弱さを抱えてなお強い。

Mishaが今回のエピソードで演じていたのはCastielではなくMisha本人である、という意見に私は賛成です(笑)。White Houseでインターンするほどデキる男だったのに、面白くないからっていうんで政治の道を辞めて、ソフトウェアだかハードウェアだかの会社を立ち上げて、片手間でお芝居してたら、お芝居のほうが稼ぎがあるんでそっちに転向して、最近は自分ちの家具を手作りしてて、いつかは家も自力で建てたいと思ってるとか思ってないとか、とにかく万歳レベルでよく分からないMishaは未来のCastielととっても似てる気がする(憶測)。What happened to you? という問いかけに対する、LIFE.(人生のゴタゴタ、という意味に加えて、生命、という意味もある) という回答はスマート以外の何物でもなくて、これをCastielが言うから意味があるとも思えます。

突然ですが、SNは本当はとても予算が低いのです(日本のに比べればはるかにお金持ちだけど、24やPrison Breakとかに比べたら道明寺さんとつくしちゃん的。Motelはホントはセットが2つしかないのですって。着せ替えて毎回使いまわしているのだとか)。なので今回みたいに町全体が崩壊していたり、世界全体が廃れている、みたいな大掛かりな舞台設定は厳しいと思うのですよ。同じ人間が同じ画面に存在することだって、結構お金が掛かるはず。しかし今回の情景描写は非常に上手く構成されていて、とにかく技術というか、演出の知識や知恵が詰まっているように感じました。時間を飛ばされたDeanが最初に窓から見る画はあれは基本的にほとんど全部グラフィックだと思うのですが、色が大幅に抑えられていたり、街中を足早に歩くDeanをあらゆる方向から早いカットで取り揃えて混乱と混沌を表現したり、重要な設定だけを過不足なく描写してくれたように思います。そして必要部分だけ物凄いスピードで展開して、さっさと車内や室内の場面に持ち込むという力技(笑)。先にも冒頭のSamのシーンで言及しましたが、特に今回は照明さんが凄かったと思う。多分わざとに違いないのですけど、未来のDeanの目元には極力照明がいかないようにしてあるのに比べて、私たちの Deanの瞳が常に光を受けて輝くようにライティングが整えてある。なので2009年のDeanは豊かな表情に加えて、とても明るい印象を受ける。He said Yes. と聞かされた後の「なぜ?」という問いかけでもそう。どれだけの悲哀にあっても、感情の起伏がきちんとそこにあって、生命が宿っている感じがするのです。それを瞳だけで演れるAcklesは凄い、という話なのですけども。

私はこのエピソードを通して、場面が終わるまで、JAが2人画面にいたことに気付かないことが多くありました。・・・いや、それじゃちょっと馬鹿すぎるので訂正(笑)。画面にいる2人がどちらもJAであることをつい忘れてしまうのです。S3のDream a Little Dream of MeでダブルDeanをやった時の話をJensenがしていたことがあって、確か、自分がどういう風にその台詞を言ったか、を思い出して、その記憶を元に自分の演じるべきDeanのリアクションを体現する必要があるから、頭がぐちゃぐちゃでおかしくなりそうだった、と言っていたように思います。まだ訳し終えていないVancouver Conですが、そのパネルで今回のエピソードについてJensenが話したところによれば、片方のDeanを撮っている時、その相手役として普通の一般的な役者さんが呼ばれたそうなのですが、Jensenがあえて自分のBody doubleさんをリクエストしたそうです。JAの言葉を借りれば「自分以外で誰よりも長くDeanを演じている人」になるわけで、佇まいや歩き方、仕草に至るまで完全にDeanなのだそうですが、残念なことにこのBody doubleさんはスタントさんなので、台詞なんて読んだことないわけです。ご存知の通り、2人のDeanの間で交わされる会話は脚本上かなり長いので、最終的に彼は「こんなのは拷問だ」と悲鳴を上げてしまったらしいですけれども、その彼を相手にJAは本気で演技を行うわけです。そしてその結果がアレです。

もう、この人はどうしたらいいんだろう?

少しだけ声が深くなって、悦楽の完全に欠如した目で、 排他的な決断を下し続ける。全てを失ったDeanに残されているのは、きっと辿り着くこと。・・・この場合の『全て』というのは、すなわちSamなのですけど(笑)。辿り着く先もSam。いろんな意味で、彼はSamに会いに行く。Deanはただ、Samに会いたいだけなのです。

今まで何度かEvilを演じてきたJaredですけど、これは新しいよね。毎回思うのですが、JAは凄いけどJPは怖い。この化け具合が。だってあのJaredが表現する"love"がこんなに怖くなるなんて思わないじゃないですか。こんなに不気味になると思わないでしょ、Jaredが笑って! JPは笑うとかわいいのにー! ホントはすんごいいい子なのにー! 白スーツのあまりの白さに目が眩んで、Deanと一緒にもう泣きそうでした。その顔でそんなに卑しく笑わないでよ~!(涙)

しかし、あのシーン(邂逅がGardenで起こったことには聖書だか何か的にはきちんと意味があるらしい)で実際具体的に何が行われたかというと、s4で極限まで広げられた風呂敷の、華麗なる回収です。DeanがLuciferに向かって、「お前なんて所詮超自然のゴキブリで、俺が今まで殺してきた物と何も変わらない。貴様はただエゴがでかいだけだ」と断言してしまったことで、天国と地獄を交えた大々的な戦争だったはずが、あっという間に元鞘に収まるのです。SamとDean Winchesterが超自然のゴキブリを始末していく、という単純な鞘。単純にして簡潔な折りたたみ具合。お見事。

DeanはYesとは言わないですよ。言うわけがないよ。なぜならDeanは弱くてなお強いから。
そこがいいのです。
ね。

We keep each other human. はいいセリフでした。独りでいられなくてDemonと契約したDeanと、Deanを失ってRubyに頼ったs4のSamと、Samを亡くして愛情を捨てたFuture Deanは基本的には同じで、彼らはお互いなしでは、正しい判断も出来ないし、あるべき人間でいられないのです。DeanがRubyのナイフを取り出した瞬間つい後退りしてしまったSamが、昔のようにDeanは彼を傷つけたりしないとまた信じられたらいいし、そしてDeanも、SamはDeanに認めて欲しいだけなんだと分かってあげられたらいいなと思うよ。どこまで偶然なのか分かりませんが、あのロケーションはs1でJohnがMegにニセColtを渡すため、SamとDeanから離れていった場所です。3人がきちんとそこにいた最後の場所。そこでReuniteする兄弟には、なぜか希望が持てます。・・・というか妄想が働きます(笑)。そこが楽しいのです、Supernaturalは。

最後に。

Future DeanがHOTNESSの総てを定義しているようにHOTでした。
もー、ヤバイ。あれは。
ビール缶の開け方が鬼のようにカッコよかったです。
あのChaosの中で、やることなすこと最低なのに、あくまでも高潔な感じがたまりません。
誰も手を差し伸べたり出来ない不可侵の領域。
孤高で切なくて、とにかく"DEAN"。
格好良すぎた。
半端なかった。

パチパチする。