インタビュー: 2018年4月15日
インタビュアー: Ben Sisarioさん @ Music担当 at The New York Times
いつものとおり、厳密な訳ではなく個人の解釈です。広い心でお楽しみください。
5:15
スコット: New York Timesさん、こんな凄い機会頂いてありがとうございます。…前の3列に座ってる人みんな知ってる、やっほー。
カースティ: (マットの椅子に座る)どこ…あれ?
マット: (司会者の椅子に座る)これあってる?
スコット: (カースティの席に座ってる)…あ。
カースティ: (移動しながら)わかったわかった、ごめんなさい。
カースティ: (机上の何かを倒す)
スコット: やっちゃった。
カースティ: やっちゃった。
ミッチ: 僕 しらないー。
5:42
Ben: まずは何より今の(New Rules x Are You That Somebody?)凄かったね。
会場: わぁい!
PTX: ありがとうございます。
Ben: 新しいCDに入ってる曲だね? 金曜日に発売されたPTX Presents: Top Pop, Vol. I。アレンジも曲の選び方も面白かった。これを作った時にどうしてこの曲でこのアレンジになったのか聞かせてもらえる?
スコット: 曲は…、ケヴィンがNew RulesとAre you that somebodyをマッシュするのを思いついたんだよね?
ケヴィン: インスタでちょっと動画を撮ったんだけど、スコットがフルでやってみようよぉって。
スコット: ツイッタのやつ10回くらい見た、PTXでやりたいと思って。
ケヴィン: あ、ホント? マジか、ありがと。それでみんなで全体のアレンジを。MVも良かった。
スコット: 歌ってて楽しいしね。でもどうやってアレンジするかは見せられるよ。
Ben: アレンジはどこから始めるの?
スコット: 基本的にはビートボックスですね、グルーヴからボーカルの音の動きのアイディアをもらうので。ケヴィン…?
ケヴィン: オッケー、ひとまずやるよ?
マット: 大抵は次にベース。
(スコットのマイクが入っていない様子)
カースティ: (マイクに向かって)もしもし? あ、入ってる。いく?
スコット: オレまだ…、あ、入った。そう、ベースを入れて、あ、こちらマットね。でバックコーラスには普通に二人で平行にハモる感じ。その上にソロを乗っける。これが基本的な構成。
8:16
Ben: わぉ。すげー簡単に見えるよ。俺も出来そう。でもこれにはすごく技術や練習が必要だろう? どうやってやるの? 例えば俺のようなとてつもない音痴としては、どうやって音を外さずにイメージしたことを表現できてるのか知りたい。
ケヴィン: アカペラの美しいところはお互いをしっかり聴く必要があるところだと思うんです。聴くことで、音程やビート、そもそもユニットとして同機能できるのかが分かる。気持ちや精神の上でも揃っていないと音楽にはならないので。技術はその中で培われると思います。
カースティ: 長く一緒にやってきたし、マットともそうだけど、とてもいいバランスがあるのかなと思います。揃えることも楽だし、お互いの声がよく聞こえます。自分のことに集中もするけれど、バランスが保たれているので乱されないというか。えっ分からない聞こえない、ということがないし、それぞれが自分の役割を果たすっていうのはみんなちゃんとやるよね?
スコット: 一人が外すだけでぜんぶ崩壊してしまうし、その時に感じるパニックと言ったらヤバさがハンパなくてみんなで「おお?おっとっと…?」
ケヴィン: マジそれ(笑)
スコット: 時間はかかったけど、この1年か2年で形になって来たよね? それなりにね? じゃない?(笑) あ、いや、今朝のサウンドチェックで一回ヤバかったわ。
マット: うん、でもみんなお互いをしっかり把握してると思います。
9:53
Ben: どれくらいの時間をかけるの? アレンジとか必要なこと全部合わせて。
スコット: アレンジは2段階ありますね。プレアレンジと呼んでる、iPhoneのボイスメモ機能使って輪になって録るっていうくだり。ビートをやって、ベースをやって、アドリブでなんか変なことやってみたり。このボイスメモ、どれか一回ツイートしてみるわ。ぜったいウケる(笑)。ハレルヤのやつとか、マジうるさいの。みんな超全力だし好き勝手してて。でもそれをベン・ブラムっていうPTXの共同創設者でアレンジ担当の人に送って、なんとかかんとか解読してもらう(笑)。余分なところを省いたりして書き起こしたのをみんなで覚えるっていう感じですね。
Ben: 書き起こすってことは楽譜があるんだ?
スコット: ありますあります、だいたいは。前はほとんど楽譜なしでやってたんですけど、今はもっと複雑なこともやりたくて、そういう時は楽譜があったほうが挑戦ができるので。
ケヴィン: 特に僕らツアーばっかりなので、効率的にやろうとするうちにこの方法にたどり着きました。
10:57
Ben: Dua LipaとAaliyahの組み合わせはどこから?
スコット: えっ女王様だからでしょ?
ケヴィン: なんでだろ、いや、うちでただ何となく音楽やってて、ほんとランダムだけど、New Rulesで何かやりたいとは思ったんだよね。で、ちょうど古めのヒップホップなんかを聴いてた時に、なんでか分かんないけど頭の中であれこれ考えて。インスタで短いのを撮ったけど、それがこんな風にみんなで出来て面白いなと思いました。PTXでやってることにもハマってるし。
スコット: Aaliyahのあのベースラインは凄く象徴的だし、Are you that somebodyはホント他のいろんな曲とマッシュアップしてもかっこよくできると思う。万人が楽しめる曲だと思います。New Rulesは去年出てきた曲の中でも凄くいいポップソングだし、いい組み合わせだと思いました。
11:43
Ben: 僕や僕の世代にとってはさ、アカペラグループって言うのは刈り上げでセーター着て校歌うたってるみたいなイメージなわけ。でも君たちは、むしろ君たちだけで、その印象を変えてしまった。アカペラグループというのがどんなものかっていう。
PTX: ありがとうございます。
ケヴィン: 恐れ入ります。
Ben: それはそうしたくてやって来たの? ダサく見られるけどそうじゃないんだ、それを見せてやろう、的な?
ミッチ: 必ずしも言葉でそう話してきたわけではないですね。Sing-offに出た初期のあたりは、ギミックを使ったり音真似をしたりっていう手法がメインで、そうやって知ってもらっていったけど、その後は、もうしっくりこない、というかそれ以外のところまで自分たちが成長したと思います。ただ声で音楽を作りたいっていう。取り立てて、古臭いのはイヤ!とか言っていたわけじゃないし、単純に好きな音楽を作っていた結果です。
カースティ: 面白いのは、必ずしも全員の音楽のルーツはアカペラじゃないんです。みんないろんなジャンルが好きでしたし、私も子供のころ聞いてたのはアカペラじゃありませんでした。みんな大体PTXが始まるまでは合唱とか、他の音楽で、でもそれがPTXなのかと思います。いろんなアイディアが出るのは、音の好みも生まれ育ちも違うけど、それを持ち寄って作るから。ミッチが言ったように、自分たちの声を使って…いや、音を声で奏でるというか、自分が聞いた音を声でならどう表現するというか。ギミックに寄せて似せるのではなく。意味通じます??
Ben: 通じる。
カースティ: よかった(笑)、着地できたわ。
ケヴィン: 着地(笑)
Ben: 例えば今の曲はそういう意味で面白かったと思う。ポップだし古くはないけど、必ずしも同列では考えない曲を組み合わせてみている。そういう意味でみんなはポップにも影響していると思うんだ。ファンもそれが嬉しいんじゃない?
会場: とても!
14:03
Ben: ちょっと変わってグループの生い立ちの話をしたい。いまだに信じられないのが5人が集まったのがSing-offのオーディションの前日だったという話だ。これはどうやったの? 凄いことだと思う。
ミッチ: かなりしっかりした基盤となるものはこの3人にあったと思います。高校の時にアカペラをトリオでやったので。Sing-offのオーディションを受けるのはスコッティが言い出したことだったんだけど、アレンジの人が、もう少し人数がいると言うので、2人足したんです。僕は結局高校の卒業式をそれのために欠席して、他の人は他の人で色々調整しないといけなかったこともあったし、あ、僕は良いんだけどどうせつまんなかったし。
会場/PTX: 爆笑
ミッチ: でもその日しかホントに全員空いてなかったんです。だから結果上手く行ったから本当に良かったです。初めて一緒に歌った時はホントに魔法のようだった。すごい興奮しました。
スコット: 僕はひとりだけでアヴィと歌ったことはあって、あの、Coffee beansというコーヒー屋さんで初めて会った時に。あとはケヴィンはYouTubeで見て、チェロ引きながらビートボックスしてて、あ、こいつは大丈夫心配ない、と思った。だからそれぞれに信頼はしていたんだけど、全員で歌ったときにどうなるかは誰にもわからなかったので…上手く行ってよかった。
カースティ: スコットにメールしたの覚えてるわ、「で、結局、飛行機乗ったほうがいいの? オーディション行く? やる?」みたいな。
スコット: オレも分かんなかったんで、「来て。ひとまず来て。」
Ben: でも誰も「ほんとに明日テレビのオーディションなの大丈夫?」みたいなこと言い出さなかったの?
ケヴィン: みんな一応Sing-offというものは知っていたし、変にプレッシャーを感じていたわけでもなかったんです。まぁちょっとやってみる?という感じで。楽しそうだし、やろうよ、って。
カースティ: うん。
15:52
Ben: …なんでそんな簡単そうな話になるのかな(笑)。少し音楽業界と君たちのキャリアの話をしたい。TV番組に向けて結成されたグループだ。きみたちは優勝した。けれどレコード会社から契約を破棄されたね。でも自分たちで音楽を作り続けたくさんの動画を作って、ファンともたくさん交流を図って、別の会社とも契約に至った。そしてグラミー賞を3度受賞してる。凄く珍しいキャリアのようにも見えるけれど、まさに今の時代のアーティストがすべきことをやって来たともいえると思うんだ。自分たちの力でできることは自分たちでして、ファンを作り、出来る限り正直な関係を築くというような。これは意図的なことだったのかい? そういう風にキャリアを築こうという。
スコット: そうですね、契約を破棄されたときは落ち込みましたけど、TV番組に纏わるしがらみからは離れることができた。だから計画としては、YouTubeでチャンネルを作って有名になり自分たちでファンを増やそう、というものでした。そしたら次のレコード会社との契約に有利に繋がるんじゃないかって。結果的にまさにそれができたのですごく良かったです。
ケヴィン: 今がいいなと思うのは、面白いことをやっている人がそれを見てもらう機会があるということだと思います。YouTubeだったりネットだったり配信だったり。そういうリソースがなければ前はそれが出来なかった。特にアカペラなんて言うのは、そういうものがなければこんな機会には巡り合わなかったと思います。アカペラの面白いところは、実際に見てもらわないと何が凄いのか本当には分かってもらえないことです。ベースが意味不明な音を出してるとか、僕のビートボックスとか、ここの3つのハーモニーとか。見て聴くことが出来るという力がYouTubeにはあった。でも以前にはそれがなかったし、おかげで音楽業界はだいぶ変わったと思います。みんな自分で自分を売り出せるしそういう場所が出来た。だから自然に純粋なファンを獲得することもできる。
17:55
Ben: YouTubeの動画はとても重要だったと思う。沢山の人に見てもらえるだけじゃなく、数をたくさん出せるという意味でも。有名な話だとPrinceはレコード会社から1年に1枚しかCDを出すなと言われて怒り狂ったという話があるけど、PTXは継続的に作品を出して反応をもらっているね。そういうのは例えば20年前だと難しいことだったと思うんだけど、それをすごく効果的にやっていると思う。
ミッチ: YouTubeは間違いなく重要でした。あれが無かったら、やみくもにただ次から次へとコンテンツを四方八方出したと思います。継続して活用できるのは凄く助かる。
スコット: 明確な目標になったというのもあると思います。次の動画はどうする?とか、どういう挑戦をしようかというゴールを設定することが出来た。それがモチベーションになるので他の誰かに頼る必要がなかったし。
カースティ: あとはファンと繋がることが出来たというのは良かったです。TV番組だと終わればすぐ次のコンテンツに移るけど、SNSでは自分たちでコミュニケーションを継続させることが出来た。自然に、正直な自分たちののままでそこで成長できたのは良かったかなと思います。他の誰かからディレクションされるとかではなく、自分たちでどういう仕事の仕方をしたいのかを話し合うことが出来た。そのやり方なら上手く行くから、じゃあそれでって。変える必要があるのならそれも自分たちでできた。
ケヴィン: 今は本人がレコード会社のA&Rを自分でできる。自分でコンテンツを作りファンはそれに反応できる。反応が良ければ正しい方向に進んでいる確認になるし、そうでなければ何かを変えようってなる。そういう時にレコード会社が来て、カースティンが言ったように仕事の仕方としてこれは使えるから、このやり方を広げよう、と出来る。個人では出来なかったそういうリソースを会社は持っているから。
19:38
Ben: マット。
マット: はい。
会場: わあああ
Ben: グループで一番の新人さんだね?
マット: ですね。
Ben: 1月に発表があったけど、一緒に歌い始めたのは去年の秋だね。今までのところどう? 途中参加という形にはなったわけだけれど。
マット: 夢でした、これが。ずっとウェディングバンドで歌ってて…、
会場: (笑)
マット: そうだよ、人様の結婚式で歌ってたんだ。ただその他にアカペラグループにも入っていて、それが凄く好きだったし、アカペラで一生やっていきたいって言ってはいた。だけど、それを一体どうやるのかっていう。何が言えるわけでもない。でも電話があって。ベン(・ブラム)とはプロジェクトをいくつも一緒にしたことがあって、LAに来いよっていう電話があった。もう、マジか…としか思えなくて。凄かったのは、LAに着いたその夜にベンからメールがあって「なぁ、クリスマスアルバムの収録に今日の夜これない?」 こっちは「ええっと… 明日だとマズい?」「おけーじゃ明日」みたいな。でその次の日の朝にホントに録って、二日後とかにジェニファー・ハドソンとの曲を録って。でも何ていうか、そういうのは起こらないんだ、起こらないはずじゃん。LAに行ったからってそうはならない。だからほんとに夢みたいだ。そういう意味で過保護にしてもらってると思うし、何だろう、確かに途中参加だけど、ちゃんと家族のようなものに入ったと思う。入ってすぐその一員のように思えたし、大丈夫なんだと思った。楽にできました。
Ben: メンバー側としては、新しいメンバーとまた高いレベルで合わせるのはどうだった? 大変だったの?
スコット: んー、そうでも…なかったよね?
ケヴィン: なかったね。
カースティ: マットが本当すごいから…。優しいし、入ってくれて上手く嵌ったし凄く嬉しかった。上手く行ってると思ってます。
スコット: オレん家でやった最初のリハーサルのこと思い出したんだけど。入ってきて、それこそ全部の曲を知ってたじゃん? しかも完璧に。で一曲やるたびに「はいお終い、次ね…」みたいな。
カースティ: 「はい良かった」って。
マット: いやいやオレは一曲終わるたんびに「えっ、ま、、、それだけ?」ってなってた。これって大丈夫ってことでいいんだよなってビクビクしてたよ。
カースティ: ハイ次、ハイ次って感じだったよね?
ケヴィン: いや違う、そもそもマットはPTXが出したマジで全部の曲を網羅したプレイリストを持ってて。それをホントに毎日毎日聴いてるんだ。それだけの努力をする男だってことなんだと思ってる。
マット: あぁ、ホントに全部の曲…、PTXの…。プレイリストの名前がさ「PTX猛特訓プレイリスト」で、あの電話をもらった時から、勉強しなきゃっ!ってなってぜんぶの曲、全部のパフォーマンス、全部のアレンジパターンの全てを突っ込んで、ただ四六時中聞き続けた。同居人にはマジ嫌われた(笑)。PTXばっかで。
カースティ: もう二度と聞きたくないんじゃない?
マット: うん、そう、ごめんファンがちょっと減った(笑)。でもオレはPTX入れたから。
22:27
Ben: ちょうど一年くらい前だけど、アヴィ・カプランが脱退を表明したね。とても配慮のある動画での発表だったと思ったよ。その動画のなかで、アヴィはペースについて行くことの難しさを話していた。PTXの仕事のペースについてね? その話を少ししてもらうことはできる? どういう... 、みんなはこれに何を費やしているんだろう? 一日や一週間や一か月の間、PTXでいるためには何が必要なんだい?
スコット: 常にスイッチは入ってないといけないと思ってます。次のアルバムやツアーや、とにかくいつも次の何かを話している。止まることなんて出来る気がしないし、そのさなかにふと、えっあと3か月もツアー残ってるの?っていう瞬間がある。消耗していても、このグループは自分に掛かってる、無理してでもやらなきゃって。それはやっぱり精神的にきつい時もあります。
ミッチ: 家から離れて過ごす時間がとても長いということもあるかなって僕は思う。それは特にアヴィが辛かったことだと思うんですよね。家族ともお友達ともとても仲のいい人だし。でも僕たちは一年の間中ほとんどいない。しかもそれが毎年続いている、もう何年も。
カースティ: 初めの5年とかは、ツアーはとにかく重要なことでした。そうして爪痕を残して進んでいかないといけなかった。収入もそこだったし、名前を知ってもらったりというのがそこにあって。でもメールが入って、ツアーの間にこのショーあるけど出る?ってなって、しかも気付いたらそれが2つや3つのパフォーマンスになってることが良くありました。結局1週間の休みが、なんの休みでもなくなって、チーンみたいな。だけど同時にそれこそがどれほど一生懸命に必死にならなくてはならないのかという証明だと思うんです。ここに来るまでに何が必要なのかっていう。今辿り着いた場所は、もう少し時間を賢く使うことが出来る立場ですけど、ここに来るまではとにかく這い蹲ってでも、という感じが強かったです。声にも、精神的にも肉体的にもきつかった。
スコット: 最初の5年間は、予定を立てるということができなかったよね?(笑) どうせ仕事だろうと思ってたから。
24:19
Ben: アヴィがいなくなる、脱退したいと聞いたときは心配になった?
スコット: めっちゃ。
Ben: アヴィなしでこのバンドはやっていけないと思ったりもした?
スコット: うん、そのままのことを思いました。酷く不安に思ったりしましたよ。出会った時がとにかく神がかりすぎてた。あまりにも自然なことのように思えて、こんなことはもう人生で二度と起こらないと思ってたんです。だから一人が欠けたら、それがすべて無くなると考えてた。それはオレの不安がそう思わせていたのかもだけど。だからそこから先はみんなホントに心配でしかなかった。だけどマットが出現して、気持ちがだいぶ楽になりました。幾つかオーディションをやって、何人かホントに上手かったベースもいたよな? うん、凄く良かった人もいましたよ。うん、でも怖かった。
ケヴィン: マットが総合的に満点だった。
カースティ: さすがマット。
会場: (笑)
スコット: マットは予約済です。
カースティ: Team Matt!
マット: ありがと
25:06
Ben: 新しいアルバムの話に移ろうか。出たばかりだけど。全部カバーとマッシュアップだよね? どうやって曲を選んでカバーしているのだろう? 前のアルバムはオリジナルが多かっただったと思ったんだ、それは明確な意図を持った取り組みのように思えた。でも今回はまたカバーだ、これはどういう決断なの?
スコット: なぜカバーか、か。このグループを始めた時は、既存の曲にインスパイアされてカバーをやるところが原点だった。楽しいカバーをやりたかったんです。そうやって始まった。で、ええっと…。(行き先を見失う)
ミッチ: (突如)うん、そう、始まりは確かにそうだった、間違いない。
会場/PTX: 爆笑
カースティ: お渡ししましょう。
スコット: いいよ、頼むよ、続けて。
ミッチ: マットを迎えて、改めて自己紹介をするっていう意味では凄くいい形だと思ったんです。その当時のタイミングとして合っていると思った。ちょうどそのオリジナルのアルバムからの大きなツアーが終わったところで、去年出てすごく好きになったポップの今日が溜まっていたし、だから改めての仕切り直しとしていいやり方だと思えたんです。
スコット: マットを紹介するのにすごく良かった。新しい動画もいくつか撮れたし。
Ben: またオリジナルを歌うことは考えてる?
スコット: はい、もちろん。
Ben: それは大きな目標のなかに必ずあるって感じだね?
カースティ: そうですね。
スコット: これからも両立したいと思ってます。ちょうど昨日、PTXのオリジナル曲のアイディアをメールしてたとこだったし、これからも続けていきます。
カースティ: でも、カバーがPTXにとってどういうものなのかがみんなの目にも明確になるのは良いことだと思ってます。ここに来るまでの過程で物凄く大きな役割を果たしてきたコンテンツだし、今は、それを好きなだけ、幾つもの違うジャンルのものを出来るところまで来ることが出来た。それは楽しいことだし、カバーは純粋に好きです。ツアーのセットリストも広がるし。
マット: しかも超有名な、ダフトパンクみたいな、もうホントすごい。ペンタトニックスといえばそれだってなるようなものもある。僕はカバーが好きだったし、ファンとしてはそれを一緒にやってみたかったので、その一部になれて凄く嬉しい。…あとCD何枚かはやりたい。(笑)
27:12
Ben: 新しいCDでは、もちろん声もさることながら、ケヴィンのチェロもフィーチャーされてるね? あとクレジットにフリューゲルホルン奏者として名前が入ってる。これはどういうこと?
ケヴィン: フリューゲル…(笑) そういう音が入ってたら面白いんじゃないかという話になって、スタジオであれこれ試すうちにいい感じの音を見つけたんです。楽しかったけど…
スコット: え、ホントにクレジットとして入ってるんです?
Ben: どっかでは見たよ? ネットではそういうクレジットになってる。
スコット: それだけリアルだったってことだよ。
27:56
Ben: でもこれで少し気になったのが、アレンジへのアプローチなんだ。ギターのある曲やシンセサイザーのある曲とか変な楽器とか、それをカバーする時ってその音に匹敵する何かを探すものなの? その音を再現しようという努力というか。
ミッチ: 要素を組み込もうという感じなのかなぁ、ZEDDのStayをやった時は、物凄く有名なドロップがあるんですけどそれは無理に声でやろうとは思わなかった。まず不可能に近いことが明らかだったし、馬鹿みたいに聴こえそうで。だからアプローチ自体を、もう少しスローテンポでロマンチックな感じにしましたけど…でも曲の要素は残してたよね?
ケヴィン: 何て言ったらいいですかね、音を再現しようとするときに難しいのは、それって曲や音の比較にどうしても縛られることになる。でもアカペラとして僕らが避けたいのはその比較なんです。何故なら僕らの音楽は比較よりもっと違うところにある。でも面白いのは、カッコいい曲があった時に、個人的には、もちろん場合によることはありますけど、ジャンル的にそれがどこに位置するかというのは本当に関係がないんです。良い曲は良いし、ジャンルに関わらずそのカバーを良くすることはできる。そういうことをやりたいと思っています。そこに自分たちなりのアイディアとか、声でそれを表現するとかはありますけど、何も再現する必要はない、何故なら元の曲が良いわけだから。なので持ち合わせた選択肢で組み立てています。
Ben: それがむしろアレンジという作業にフォーカスを寄せるわけだね、それがPTXの凄みでもある。3つのグラミーのうちの2つがアレンジに関するものだ。でもこれって過去には、オーケストラやバンドのスコアのアレンジに対して授与されたものだった。君たちのものは声のアレンジだよね。PTXだけじゃないかな、声のアレンジに対するグラミーを獲ったのって。それって凄いことだと思っている。
29:47
Ben: そろそろみんなから質問を受け付ける時間だ。短めでいい質問を考えておいて欲しい、あともうちょっとしたらね。その前にステージに揃った足元を見ると、マットとカースティがキンキーブーツ的なものを履いているけど、実際にブロードウェイのキンキーブーツのショーに出ている人がひとりいるね?
カースティ: わ た し!
Ben: もう数か月になるよね、5月3日までだっけ?? 今日も出演があるんだよね? シアターはここから数ブロックのご近所だ。
カースティ: 15時からのマチネがあります!
Ben: 聞きたいのは、どういう風に話が来たのかということと、PTXと毎日のブロードウェイの両立はどんな感じ?
カースティ: はい。とても大変(笑)。エージェントの関連会社から来た話で、私の音楽の始まりはミュージカルにあったので、それが原動力だし、ブロードウェイの舞台に立つことはほんとうに純粋に子供のころからの夢だったんです。この機会はタイミング的にもちょうどよかったので、NYに移って、それ以来すごく貴重で素晴らしい経験をさせてもらっています。とても勉強になることが多いですね。やり始める前は、それなりに大丈夫だと思ったんです。PTXはツアーでも1.5時間のセットを歌いっぱなしだし、2つや3つの公演は連続でやります。だからまぁ準備は出来てるかなって。だけど実際にショーに出てみて、わぁー凄いと本当に思いました。これを一年間ずっとやっているっていう。そういう職業を生きている。例えばプロジェクトとして6か月くらいツアーに出て、最後の方は叫んで何とかするみたいなことはできない。これが毎日の日常で、一週間に8公演、休日は一日だけとか、ホントに信じられない。でも楽しいし、周りの人からとても沢山学ばせてもらったと思います。多分…特に勉強になったのは、「お断りします」と言うことかな(笑)。ほんとに人生で一番忙しい週末が続いていて、10個くらいの何かに誘われては全てに「行く!」と言いたいんだけど、そういうわけにもいかなくて。なのでみんなから沢山学んだわ。とにかく出来る限り水を飲むことと…、心気だったり霊気だったり…、私の前室がそういう気持ちを高める薬局みたいになってる、今(笑)。やるべきことを明確にして、スケジュール管理をしっかりして、全力でできる状態にすることと、何よりとにかく早く寝ることかしら、身体を大事にするっていう。もうできる限りの全てのことをやってる。自己管理ができるように。だってまだPTXでやることはたくさんあって、それを私は成功させたいし、舞台は舞台で毎回成功させたい。
マット: オレは、あ、スコットもだよね? 見に行くことが出来て。みんなも行ってね。ホントに圧倒された。凄かったよ。
スコット: みんな見た?
観客: 見た!
Ben: 見に行った人は?
観客: 2回見た!
Ben: いまチケット買おうとしてケータイいじってる人もいるんじゃないか? 他に別の仕事やプロジェクトやってるメンバーはいる?
ミッチ: 僕とスコットはSuperfruitっていう別プロジェクトがあって、
スコット: 初めてのライブを何個かやったところだな。凄く上手く行ったよ。楽しかった。びっくりするくらいPTXとは違う経験になった。それぞれ違う形で面白い。楽しくやってるよね?
ミッチ: (頷)