ONE VOICE

     * ONE LOVE + ONE LIFE + ONE VOICE *        笑っていれば、イイコトあるよ  

Troy

Bでおねがいします。見るなら絶対映画館であることは間違いなのですが・・・もう公開終わっちゃったってね。

視覚的配役はほぼ完璧。Screenに実際の40倍くらいになって写ってもケチのひとつつけられないくらい整ったBradの顔はむしろどこか異常(失礼)。特にBradのファンじゃなくても、それとなく目で追ってしまうあたりはやはりある種の才能と思うしかないんでしょうね。ちゃんと鍛えたとInterviewでも言ってましたがいい体をしてました。かなり際どいベッドシーンもあったし。Eric Banaはよく考えたらHulkという映画に最近主演してたんだった。甲冑がないと、Hektor=トロイ随一の勇者というイメージにはならないのだけど、前のはだけた衣装を着るとやっぱりいい体です。ステキ(笑)。Orlandoは育ちのいいお人よしさのよく出た顔を生かしていたけど、あの甲冑はやっぱり似合わないかな…。やはり弓がお好きのようでした^^; Achillesの友人役Odysseusには多分LOTRでボロミア役をやっていた方が入っていました(違うかもだけど)。よくはまってたんじゃないかな。その代わりAchillesのイトコ(友人となってる資料もあるんだけど?)パトロクルス役は何もこの映画でデビューしなくても、というほど似合っていなかった気がしてしょうがありません。どうしても女のコに見えてしまって。

女のコといえば女性軍はかなり意外な配役だったのでどうかなと思ったけど。Helenは絶世の美女の予定なのに無名の女優さんを引っ張ってきましたね。目のとてもきれいな人でした。ここはむしろ無名でよかったのかも知れません。男性陣とのつりあいが微妙だけど、先入観なしで見られたので。Bradの相手役の選び方はとても賢明だったと思います。彼の美に真っ向勝負を挑んだら、大抵の女優さんは負けちゃうでしょう^^; 彼女のEthnicityは分からないのですが、演技もよかったし私は大変好感を持ちました。どうでもいい端役ですが、最初にAchillesを呼びに行くかわいい男の子はCheaper by the dozenに出ていたJacob Smithくんです。

Bradは知られてないけど何気にG Globeもらってる実力派なんですよね。ここ最近というかずいぶん長い間演技力の要求されるような役をやってなかったし、正当に評価してもらえるような映画に出てなかったような気もする。今回いい演技だったと思います。目がすごく雄弁でした。一番最後のシーンがちょっと元気すぎたかなとも思うけど、Achillesということで許されるかも知れない。Ericが私的には特によかったと思います。期待して見に行ったけど、期待してよかった。最初のOrlandoとの船上のシーンは私が入り込めてなかったのもあってちょっと微妙かなと思ったけど、すごくよかった。家族と何より平和を愛する勇将というのはいつの時代も家族と平和に過ごせないのでしょうね、勇将であるが故に。そこのジレンマを上手く表現していたと思います。さて、Orlando…どうなんでしょう。私はどうしても彼がいい役者だと思えないんです、かわいいのは認めます。役にぴったりのアマな顔だし。しかし… 喋り方から始まり、どの映画でも同じに見えるのです。 特に女性を口説く時の顔がどの映画でも同じ・・・(Piratesの”I love you”と今回の”I will love you”はトーンと言い回しと微妙に切なげで苦しげな顔がまったく同じ) 恐らくは実生活でも同じ甘い表情で口説いているに違いない(笑)。 外見は役にすごくあっていたのでもったいない気がします。どうなのかなぁ、外見だけで稼いでいるには稼ぎすぎだから、演技力も評価されてるには違いないんだけど、どうも私には語りかけてくるものがないというか…
Troyの王様は言葉がないほどすごかったです。なんて役者さんだったかな。どうもSirの称号をいただいているそうなのです。Achillesとの会話のシーンは白眉です。圧巻。泣き入ります。

イーリアス(原作? 原案?)ではギリシャ軍は確か1000隻の船を使ったことになってるから、あれくらいの描写は当然なんでしょうが、どうも。なんかちょっと、乾いた笑いを誘われてしまう感じ。戦闘シーンは特にこれといってどうということもなかったけど、衝突ラインを端から駆け上がっていくのが1番よく描けていたところだと思います。AchillesとHektorの戦いのシーンだけすっぽ抜けるように上手かった。長すぎず、短すぎず、超人すぎず、伝説すぎず。音楽が上手かったんでしょうね。戦いの結末を知っていても、手に汗握りました。

内容のない出だしだったのが悔やまれます。文章で経緯を説明するやりかたは好きじゃないんだけど(必要性があってもどうも気に食わないのです)それはそれとして、無意味にAchillesに戦わせてみたり(後世に名を残すとか、王様とのいざこざはあとの場面でじゅうぶんに説明できてると思う)、いつの間にやらParisとHelenはできちゃってるし、あれあれあれ? 的な出だしだったのがどうもなー。幕が開けた途端にグイっと引き込まれる! ということは残念ながら起こりませんでした。AchillesのところにOdysseusが来てから面白くなった感じ。

AchillesとHektorのコロッセウムのシーンの音楽は単純すぎない単純なリズムを刻むボンゴ系のパーカスに緊張感を思いっきり煽られました。Josh Grobanの声は相変わらずよかったです。Lyricsは見る前と見たあとでかなり見方が変わります。Troyのためだけに書かれた曲(Remember)でした。映画を見た後は「思い出して」というよりも「忘れないで」と訳したくなります。ちょっとボリュームがちっちゃかったので、Joshの声の奥の深さまで聴けなかったのが残念でした。

とりあえずは映画館で見ないと、という映画であることは間違いないでしょう。ちっちゃいTV画面で見ても所詮はちっちゃい箱の中で起こっている古代の戦いであるだけです。作品が伝えようとしているもの、Achillesが抱いたまま死んでいった「なぜ戦うのか」という問いかけへの応えは、今戦っている兵士さん達、戦わせている政府陣にはどのように映るのか、大変気になりました。Troyの王様(プリアモス)が息子とはいえ亡骸のためだけにAchillesを訪れるシーンは、言葉を超越して感情に響きます。殺すこと、殺されること、それは一体どういうことなのか。戦いに勝ち、生き残り、取り残されるということは、どういうことなのか。考えてみれば、これは何千年も前の話でしたね。そんなにもはるか昔から、その問いかけを問いつづけ、応えを待ちつづけているのは、どちらも同じ人間なのではないのかと思うのです。結局応えを待っている間にも戦いつづけなければいけないようですけれども。