ONE VOICE

     * ONE LOVE + ONE LIFE + ONE VOICE *        笑っていれば、イイコトあるよ  

the Da Vinci Code

この映画、結構ぼろくそ言われてますよね。
私は結構好きでしたけど。

登場人物がどうやって謎を解いているのかサッパリ分からない、話の展開が速すぎて考えている時間がない、とか、いろいろ批判がありますが、アクションスリラー謎解き系って、登場人物は見ている側より頭がいいのが基本ですよね(笑)。なんていうか、テンポのよさが売りな訳だから、観客に付き合っていたら遅すぎるわけで(苦笑)。だから、この映画も登場人物は自分達よりも頭が良いという前提に納得してから見れば、特に問題もないと思います。暗号だったり宗教史だったり、キャラクターがあれよあれよという間に解き明かしてくれるのを、そうかそうかと、素直に見守り、なぜなの?どうしてなの?という質問はしない(笑)。あの分厚い本を映像化するのですから、その道の天才で博識な登場人物がいちいち謎を愚鈍な観客に分かるように解決していたら日が暮れてしまいます。彼らが分かるのならそれでよいのです(笑)。謎をそれ自体に意味はあまりありません。解かれた謎が物語の中で果たす役のほうに注意すべきです。

私が最後に日本語字幕(吹き替えはどうも…)で映画を見たのは3年以上前なので、実際字幕を見ながら映画を見るのがどんな感じであったかというのを正直よく覚えていないのですが、この映画に関しては英語で見たのが良かったのかも、と思います。というのも、物語の大筋を理解しつつ、しかし詳細が理解できなくても平然としていていられるから(苦笑)。免疫ができると、多少は不明な部分があっても、後で考えれば見当のつくことばかりです(笑)。この人は誰? とか、この人は敵か味方か? というのも、暫く黙ってみていれば、自ずと分かるものです(苦笑)。

アメリカはCAにいるので、皆さんあんまり宗教的論争に興味なさそうというのが私の個人的意見です。でもYahooとかAOLとかのレビューをみると、やっぱりキリスト教徒として見逃せない『嘘』というものは、本にも映画にもあるようで、Da Vinci Hoaxとか何とか言う、the Da Vinci Codeに『事実』として書かれている『嘘』を暴き立てるために費やされた一冊もあります。教会で、映画を見てはならん、本を読んではならん、という御触れも出されているみたいですね。そもそもは原書の前書き部分で、この本で触れられている画や建築物の描写は全て正確である、と書かれていることが問題のようなのですけれども、日本人として宗教を『しない』私にとっては、この物語は事実に基づいていようがなんだろうが、「そうなのか、キリストには子供がいて、今も子孫がどこかにいるのか、いや~よく考えたなぁ」という程度で終わり。もともと宗教それ自体も「よく考えるなぁ」という程度でまともに取り合わない方なので、基本姿勢は、そんな本一冊にむきにならんでも、という気分ですが、人それぞれ、誰にも犯されたくない聖域というものがある以上、過敏になるのも分からなくはありません。

私は、この本それ自体の意義は宗教に対する単なるアンチテーゼなんじゃないかと思うんですよね。あんたらの話を聞いたけど、よくよく考えたら、こういうことがあってもいいんじゃないのか、という。それについて、信者達が、何抜かす、私達は嘘など何もついていない! みたいな。でもね、宗教上の教えというか、キリスト教の真髄それ自体に、この本は別に何も楯突いてはいないような気がするんです。私はキリスト教についてまったく無知もいいところだけど、映画を見た限りでは、この話はキリスト様の血が生きているということが衝撃的なのであって、キリストの教えは嘘であった、というプロットではないわけです。友達のMyspaceに"I have nothing against christ. it's his fan club that i cant stand"という言葉があったのですが、要するに、盲目的にキリスト様と彼の生い立ちを崇め奉ったりしているFun club会員的信者でない限りは、キリスト教の教えそれ自体が侵犯されていないのだから、別にそんなに慌てふためく必要はないのでは、と、私は無知なりに思ったわけです。

ある書き込みで、この本の全てを真実だと鵜呑みにしてキリスト教を誤って理解する輩がいることが許せない、と書いている人がいましたが、しかし、この本を読んで、そうなのだ、キリストには子供がいて今も子孫がどこかにいるのだ、と信じる人って、どうなんでしょう。監督のRon Howardは、この物語はフィクションです、と注釈を入れるようにいわれて「あなた方は読者や観客の理解力と思考力を過小評価している」といったそうですが、まさに的確な反撃で、お見事というしかありません。しかしイギリスの多くの人が実際鵜呑みにしてしまったとか聞きましたけど、それってなんていうか、…どうなんでしょう(苦笑)。