ONE VOICE

     * ONE LOVE + ONE LIFE + ONE VOICE *        笑っていれば、イイコトあるよ  

P.S. I Love You

PS I love you
Directed by: Richard LaGravenese
Starring: Hilary Swank, Gerard Butler, Lisa Kudrow, Jeffrey Dean Morgan, Gina Gershon

とても疲れる映画です。
とても泣いて、とても笑う。
もうこれ以上カンベン! という頃に映画が終わります。
いい映画です。
いい映画なんです。

泣かせようとか、笑わせようとか、仕掛けのある映画じゃないと思うんです。生きていればきっと遭遇してしまう出来事のたくさんを、うまく捕らえている映画だと思う。死がもたらす悲しみは時が癒してくれる。けれど止まらない時の中で自分だけが歳をとっていく淋しさは募るばかりで。

Cassieが亡くなって一年以上経ちます。私ね、彼女がまだどこかにいるような気がするんです。似てる人を見かけると、つい振り返ってしまう。いつか街でばったりあったりして「久しぶり~!」と声をかける気がする。知ってるんですよ、彼女がいないことは。でもなんかそんなことがあってもいいような気がしちゃうんだな。

泣き顔よりも笑い顔が印象に残るのがこの映画の救いです。泣いたっていいんだよ。哀しいときは泣いたらいいんです。淋しいときは誰かに傍にいてもらえばいい。人の死は、乗り越えられるものじゃないと思うんです。だいすきな人はいなくなっても、いつも思い出す。そして会いたいなと思う。そう考える時はいつだって哀しいしいつだって淋しい。でも忘れられるわけがない。乗り越えられるわけがない。その必要はきっとないんだよ。毎日のささやかな幸せをかき集めて、笑いながら生きていけばいいんだ。そして時折思い出せばいい。思い出を抱いて生きていくことは、どんな時も間違いじゃない。

淋しくて悲しくて泣いた後は、こんなにも素直に笑える。
失えない暖かさが忽然と姿を消しても、生き続けていく強さをくれる優しさは、なくなったりしない。
感想を持つような映画じゃないと思います。
映画を見ているときに抱く感情が全てで、それ以上を深く考える必要もないと思う。
時と場所を選ぶ映画でもありません。
だって人が死ぬってそういうことでしょう。
ただなんとなく死んでしまう。突然いなくなるんだ。
だからただなんとなく見始めて、きちんと見終われる映画です。
いつか思い出したときに見てあげてください。

B


パチパチする