ONE VOICE

     * ONE LOVE + ONE LIFE + ONE VOICE *        笑っていれば、イイコトあるよ  

twilight

twilight
Starring: Kristen Stewart, Robert Pattinson
Directed by: Catherine Hardwicke


年末年始のめでたさもなく、超辛口です。辛口超。
すみませんが自己判断でお願いします。

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あぁっ(悲鳴)。

期待はしてなかったんですが、なんか。もう言葉が出てこない(苦笑)。
最終的に、原作を知っていても面白くなかったし、知らなくても面白くなかったという、非常に残念な結末になってしまったわけですが、ここできちんと書いておきたいのは、Twilightという作品は、原作も映画も、ターゲットは10代の女の子です。非常に悔やまれることに、私は確実に10代ではありません。以下、そんな私が思うこと。

2008年は、結構映画ウォッチャー的に、いい滑り出しの年だったのですが、おかげで後半がDownhillでした。転げ落ちていった。勢いも激しく。このままいくと、Twilightが2008年で最後に見た映画で、2008年で最低の映画になってしまう(悲劇)。なんてことだ。

監督さんと、脚本さんと、プロデューサーさんと、メイクさんと、キャスティングと、役者さんと、そこらへん一体に責任があると思う。でももはや最終的にドコをどうすればよかったのかと言い始めてしまったら、映画を最初から作り直すしかない気がする(苦笑)。良かったのは多分アクションシーンくらい。ワイヤーアクションは特に流動的で綺麗に取れている気がした。ご本人の運動神経がよかったのかな? それとも技術が進歩してるんでしょうか。ロケーションも良くて、出だしはお気に入り。

端的に言うと、この映画は情景をとても上手に撮っていたと思う。雨ばかり降らせる薄暗い空や、静けさの中に落ち葉を踏みしめる音が響き渡るような苔で覆われた森とか、Edwardの黄金の瞳とか、そういう風景として捉えられるもの、舞台を整えるのに必要な素材は物語に沿って丁寧に撮られているとおもう。しかしながら残念なことに、実際に物語が動き出してしまうと、原作に遅れまいという必死さがいやにあからさまで、かえってスピード調整を間違ってしまった感でいっぱい。本の上っ面だけを指先で撫でて、あとは映像でごまかそうって言うね。なんたって本が長いからしょうがないのは分かるんだけど、その割には映像と役者がお粗末で、完全に本末転倒。

Bella役の女優さん、私はお顔が非常に好みで、その部分ではもちろんがっかりはしなかったし、雰囲気として合っているとは思ったけど、Bella役じゃなかったら特にどうと言うこともない非常に普通の女優さんだと思った。ここが良かったとか、このシーンがダメだったということもなく。役名だけでBellaで、ひとつひとつの演技や表情に内在するはずの彼女の頭の良さや、たまに出てくる頑固さが、いかにもBella、というほどにはどうもならなかった。Edwardとの間に確かにChemistryはあったと思うけれど、肝心なのはEdwardでなければ好きになれない排他的な恋をしているところなのに、この映画のBellaは、Edwardに対して至極単純な恋をしたように見えたところ。私的にはどうも残念。一人称で書かれている原作を、モノローグをかなり抑えた脚本で映画化するというのは、やっぱり相当腕のいい監督と役者さんとが組まないと難しいんじゃないだろうか。

Edward. Oh Edward. はぁ(溜息)。
うーん。例えばね? 私、見かけに騙されてしまいやすいけれど、Brad Pittって、きちんと演技力を伴ったとてもいい男優さんだと思っていて。で、彼が一番美しかった映画って、今までもこれから先もずっとMeet Joe Black(ジョーブラックによろしく)だと思うんです。それは別に、あの頃の彼が若さに満ち溢れていてきれいだったからとか、そういう単純なことではなく、あの役が彼に綺麗で儚くて、美しくあることを要求していたから。そして彼がそれに応えて、そういうつもりでメイクをしてもらって、そういうつもりでスーツを着て、そういうつもりで演技をしているからだと思うんです。プライベートでスーツを着ていたBradがあの頃同じように美しかったかといったら、そういうことはないと思うわけ(そりゃもちろん美しかっただろうけれどもさ)。いくら自分の見てくれは変えられないと言っても、自分をどういう風に見せるかって言うのは、やっぱり演技のうちに入るわけですよ。うん。そういう意味でね、Edward役の彼は、致命的なまでに自分はただメイクをしてもらって、衣装を着て、そこに突っ立って、世紀の美青年に見えようとしている一面があったと、私は強く思うのです。身のこなしや仕草、ものの見つめ方、立ち姿、歩き方、全てのささやかな行動のあるなしにおいて、彼はEdwardとしてちょっと力量不足だった気がする。それか単純に私の好みじゃなかっただけか(笑)。声は確かに魅力的だった。魅力的だったけれども(苦笑)。

メイクさんは、やっぱりドコまで人間、肌を白くしたら面白可笑しいのかくらいは、分かっておかないとまずいと思うわけです(苦笑)。そこまで親しくない友人が、美白を求めるあまりファンデーションを塗りすぎてしまったのを、いつ突っ込んだらいいのか分からずに隣に座って俯いて下唇を噛んでいる気分。しんどい。つらい。まったくもってつらい。設定は「肌が生気を感じさせないほど白い」ということで「肌が病的なまでに白い」というのとは違うわけです。そこらへんを何か非常に間違ってしまった気がする。

大人になってしまった、現実を知ってしまった、夢を見なくなった、盲目的な恋が難しくなったという、もはや乙女じゃないよ症候群に苛まされている人は、手放しに楽しめない物語だというだけで、この映画の全てを否定するつもりはありません。私が身の程を知ればいいだけのことです(苦笑)。私が嵌りに嵌った原作だって、落ち着いて振り返ってみれば、一組の男女が胸の焦がれる恋をするだけで内容はまるでないし、そんなものを映画化して楽しいかどうかというと、胸の焦がれる恋を純粋に楽しめる人でないと、そこに喜びは見出せないわけです。だから必ずしも駄作とは言えないけれど、私の好みではなかった。

よく考えてみれば、原作を知っていて、映画を見るっていうのは、いままでことごとく拒んできた行為のような・・・。やっぱり難しいんだよね、言葉でしか表現されることのない感情を上手く表現した本が、いい本だと思うので。

パチパチする