pebbles
Music : Wherever You Will Go - Charlene Soraia ←
もうそろそろ海外生活が9年目に突入します。
住んだだけじゃなくて、行ったことのある国もいれたら結構な数になる。
この間に人種差別的な経験がなかったわけではないと思うんだけど、
これ、という場面ははっきりと思い出せない。
NYの街ですれ違いざまに舌打ちされたことはあったけど、
それだって自分に向けられたのか定かではないし、
そうだとしてもそれが人種の話かどうかなんて分からない。
ましてや10代の少年たちに石を投げられるとか今までなかった。
----
ジョギングしてたら並走してきた7歳くらいの男の子が、
ふと屈んだと思ったら石をこっちに投げつけてきてそのまま去ろうとしたので、
ちょっと待ちなよって歩いて行った。
彼の戻って行く先を見やると10人くらいの集団で
中学生くらいの男の子たちがベンチに座ってこっちを見ている。
誰かは今のを見て叱るかなぁと思ったんだよね。
そんなことなかった。
何人かはその場で成り行きを見ていて
何人かは立ち上がって私に向かってきた。
中指を立てたり特別な単語を使ったり
アジア人が「嫌い」という感情の表現を恐れない彼らの前に
私が私の言葉でできることはあまりに軟弱だった。
一体何が彼らをそんなに駆り立ててるのかとか
そもそも人に石って投げたらダメじゃないかとか
いろいろ尋ねてみたんだけど
聞きたいことは何も教えてもらえなかった。
殴られる、とは思わなかったけど、
殴られるのかな?とは考えた。
そのうち発端の子供が私を掴んでくるっと回して
背中をグイッと推したので、
その勢いでそのまま歩き出した。
とりあえず歩き続けてみたら
後ろから石がたくさん飛んできた。
はじけ飛んでいくそれを見ながら
私はどうしたらよいのだろうかを考えて
考えながら泣いて
泣きながら歩いた。
----
泣いた理由はいくつかある。
だけど
誰も私の質問に答えてくれなかったということが
私にとっては一番大きい。
----
石は一つも当たらなかったのだけど
彼らは単に下手だったのだろうか。
それともわざとだったのかな。
ひとりひとり出会えたら
何かもう少し分かったのだろうか。
ひょっとしたらちゃんと理由があったのかな。
もしかしたら物凄く演技力の高い冗談だったりして。
でも知らない。
何もわからない。
ただ、
彼らは、
人を物凄く嫌っている。
手元に残ったのはそれだけ。
それしかない。
----
すれ違う知らない人にいつものようにHelloと笑いかけて
やっぱりいつものように向こうが笑ってくれると泣けた。
ほっとしていた。
自分はこの街に安心を失ったのだと気付く。
彼らの人が嫌いという気持ちには
そんなパワーがあった。
名前も知らないし
顔もきっと忘れてしまう彼らのことを、
私はずっと忘れないのだ。
ただ人を嫌っていた存在として。
What a way to be remembered by.
----
走る気にはなれなかったけど、
行こうと思っていたところまでは歩いて家に帰ってきた。
犬のお散歩をしている人がたくさんいて、
私は意固地にHelloをやめなかった。
あの子たちが例外であることを、私はこうしてしか確認できないけれど、
私には、彼らは例外であるという気持ちがある。
自信がある。
この8年の間に笑いかけてくれた、たくさんのたくさんの人たち。
その数が増えていく。
その数を増やしていく。
世界にはたくさんのいろんな人がいて、
広げれば、どこまでもどこまでも広がっていく。
いろんな人種が生きている、そんな世界の楽しみ方を
自分は正しく知っている。
私にはそれを教えてくれた人たちがいる。
それは、彼らには奪えない。
----
そもそも行こうかどうしようか迷っていたジョギングで
こんな展開を見せられて
少し気の抜けた毎日がまたしゃきっとした気がする。
きっと神様が見ている。
パチパチ
もうそろそろ海外生活が9年目に突入します。
住んだだけじゃなくて、行ったことのある国もいれたら結構な数になる。
この間に人種差別的な経験がなかったわけではないと思うんだけど、
これ、という場面ははっきりと思い出せない。
NYの街ですれ違いざまに舌打ちされたことはあったけど、
それだって自分に向けられたのか定かではないし、
そうだとしてもそれが人種の話かどうかなんて分からない。
ましてや10代の少年たちに石を投げられるとか今までなかった。
----
ジョギングしてたら並走してきた7歳くらいの男の子が、
ふと屈んだと思ったら石をこっちに投げつけてきてそのまま去ろうとしたので、
ちょっと待ちなよって歩いて行った。
彼の戻って行く先を見やると10人くらいの集団で
中学生くらいの男の子たちがベンチに座ってこっちを見ている。
誰かは今のを見て叱るかなぁと思ったんだよね。
そんなことなかった。
何人かはその場で成り行きを見ていて
何人かは立ち上がって私に向かってきた。
中指を立てたり特別な単語を使ったり
アジア人が「嫌い」という感情の表現を恐れない彼らの前に
私が私の言葉でできることはあまりに軟弱だった。
一体何が彼らをそんなに駆り立ててるのかとか
そもそも人に石って投げたらダメじゃないかとか
いろいろ尋ねてみたんだけど
聞きたいことは何も教えてもらえなかった。
殴られる、とは思わなかったけど、
殴られるのかな?とは考えた。
そのうち発端の子供が私を掴んでくるっと回して
背中をグイッと推したので、
その勢いでそのまま歩き出した。
とりあえず歩き続けてみたら
後ろから石がたくさん飛んできた。
はじけ飛んでいくそれを見ながら
私はどうしたらよいのだろうかを考えて
考えながら泣いて
泣きながら歩いた。
----
泣いた理由はいくつかある。
だけど
誰も私の質問に答えてくれなかったということが
私にとっては一番大きい。
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石は一つも当たらなかったのだけど
彼らは単に下手だったのだろうか。
それともわざとだったのかな。
ひとりひとり出会えたら
何かもう少し分かったのだろうか。
ひょっとしたらちゃんと理由があったのかな。
もしかしたら物凄く演技力の高い冗談だったりして。
でも知らない。
何もわからない。
ただ、
彼らは、
人を物凄く嫌っている。
手元に残ったのはそれだけ。
それしかない。
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すれ違う知らない人にいつものようにHelloと笑いかけて
やっぱりいつものように向こうが笑ってくれると泣けた。
ほっとしていた。
自分はこの街に安心を失ったのだと気付く。
彼らの人が嫌いという気持ちには
そんなパワーがあった。
名前も知らないし
顔もきっと忘れてしまう彼らのことを、
私はずっと忘れないのだ。
ただ人を嫌っていた存在として。
What a way to be remembered by.
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走る気にはなれなかったけど、
行こうと思っていたところまでは歩いて家に帰ってきた。
犬のお散歩をしている人がたくさんいて、
私は意固地にHelloをやめなかった。
あの子たちが例外であることを、私はこうしてしか確認できないけれど、
私には、彼らは例外であるという気持ちがある。
自信がある。
この8年の間に笑いかけてくれた、たくさんのたくさんの人たち。
その数が増えていく。
その数を増やしていく。
世界にはたくさんのいろんな人がいて、
広げれば、どこまでもどこまでも広がっていく。
いろんな人種が生きている、そんな世界の楽しみ方を
自分は正しく知っている。
私にはそれを教えてくれた人たちがいる。
それは、彼らには奪えない。
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そもそも行こうかどうしようか迷っていたジョギングで
こんな展開を見せられて
少し気の抜けた毎日がまたしゃきっとした気がする。
きっと神様が見ている。
パチパチ