ONE VOICE

     * ONE LOVE + ONE LIFE + ONE VOICE *        笑っていれば、イイコトあるよ  

Sex and the City

satc
Starring: Sarah Jessica Parker, Kim Cattrall, Cynthia Nixon, Kristin Davis
Directed by: Michael Patrick King

こういう類の映画はまずレビューだ何だと偉そうなことを言う前に、明言しておかないといけない事柄があると思うので、それからはじめます。

*私はSex and the Cityのドラマを見ていません*
*よって6年間の間に起こったてんやわんやの顛末を何も知りません*

単刀直入に感想を言えば、物凄く振りまわされた感でいっぱいでした。多分、感覚としては、特によく知っているというわけでもない友人のそのまた友人あたりの結婚式に呼ばれていて、段取りが悪くて色々ものごとが起こるのだけど、お気の毒にと思いながらも、正直なんでもいいから早くやることやって幸せになってくれよ、という苛立ちに似ているはず。

ストーリーの中で起こるハプニングの全てを、観客が見る前からこんなにもよく知っている映画、というのも珍しい。主役が4人いるので、確かにその全てを初っ端から把握していたのかと問われれば、そういうわけでもないのだけれど、メインの話はコトの全てがまさに時限装置のように、いつどこでだれがどうして、恐らくはきっとこういうことを言うのだろうね、というところまで非常にわかりやすくて、わかりやすいからこそスリルも安堵も特になく、最終的に、なんでこれを私は金を払ってまで2時間も見ていたのか? と自問したくなる映画。

ただね、これはSex and the CityフリークのMimiちゃんと見に行ったから分かるというのもあるけれど(彼女はSatCが好きすぎてNYに来てしまったといってもあながち過言ではない)、劇場に来ている観客の皆さんのほとんどが、ドラマが終了してしまったときに物凄く寂しい思いをして、いつかまたこの制作陣が作る終焉のその先の話を、長い長い間夢見ていたのだ、という、映画としてというよりかは、ドラマのオマケとして期待されている感を、廊下で並んで待っているときから猛烈にひしひしと感じていたので、正直私の言っている小言の全ては、完全に主旨を取り違えてしまっている人の残念な呟き程度ですらないんだろう、ということは分かっているつもり。

じゃあドラマを見ていなければ楽しめないのか? ということは決してなく、ひとつの映画として、確かにきちんとまとめられていて、恋愛ドラマとしては確かにストーリーもキャラクターも成立しているのね。だからこそドラマを見続けてきた皆さんにきちんと受け入れてもらえるのだと思うのだけど。だってこれだけ待って待って待たされ続けて、その挙句にぽしゃったりしたらそりゃ大変だよ。でもひとつの映画としてみると、要素の全てがうすーく引き伸ばされて2時間枠を埋めていた感は否めなくて。もし、4人いる主人公と花婿を、いわゆる一般の映画と同じようにもうちょっと時間をかけて観客のために掘り下げていったのなら、出来事の全てを面白く見せて、そしてちょうどいいペースで集束させることが出来たはずなんだよね。それがJennifer Hudsonが絡むストーリーラインが私にとって一番とっつきやすかった理由でもあると思うし。彼女のキャラクターが私には一番理解できたし、共感したりしてしまった。それは物語としてまずいんだけどね。完全に。ただこの仮定が全くの意味を成さないのは、そんなことしたらドラマを知ってる皆さんにとっては物凄くつまらない長すぎる導入部になってしまうからで、だって6年間も見続けてきたキャラクターを15分もかけて紹介されてもねぇ。そんなことはもう知ってるからはよ先に進んでくれやとなるでしょう、だって。

収まるべきところに収まって、非常にすがすがしい映画なんでしょう、きっと。
おしまいのおしまいとしては、きっととてもよく出来た物語だったはずです。
惜しむらくは、それがやはり万人向けに語られなかったことくらい。でもそれは正直この映画の目的だったとは思えないから、そんなことは言ってもしょうがないコトだとおもう。

ドラマを見てない人は見なくてもいいんじゃないの? という映画。
なのでD。
でも本当はきっとA+。


パチパチする