walking free
どれだけやり直しても、
時間は元には戻らなくて、
いなくなった人ももう帰ってこない。
もう見つけられない。
もう捕えられない。
狭い部屋の中で、
お前は悪いやつだと決め付けられて、
手を差し伸べてくれる人も
目を合わせて微笑んでくれる人も
あなたは間違っていないと言ってくれる人もいなくて、
それはきっと怖かったんだろう。
自分のものでなくなっていく体が、
自分のものでない声にしたがって、
そうなんです、
と、
首を縦に振る。
他にどうしようもできなかったと、
言ってしまえばそれまでで、
それが彼の真実ならば、
濡れた衣を振り払うことができなかったのも、
それもまた彼の真実。
そうして今日も空の下で、
女の子のひとり少ない空の下で、
染みひとつない洋服を着てあるく、
さつじんはんがいる。
パチ。