ONE VOICE

     * ONE LOVE + ONE LIFE + ONE VOICE *        笑っていれば、イイコトあるよ  

神の祭壇: Shadowhunters

Music: ● Alec Lightwood || Bad Guy - coldrequiem 

3月は気違いのように忙しくなるはずで、
実際途中までめっちゃ忙しかったのだけど、中途半端に終わりました。
中旬が下旬になり始めるころに手持ちのプロジェクトが無くなり、出社せずともできることだけが残り、
1か月以上会社には行っていない。

時限的な仕事なので、ほんとうは今年の夏までだったのだけど、
見通しが立たない中でひとまず来年の夏までの仕事になりそう。
とはいえ今の状態でいつまでこの仕事があるのか確実には安心できず、
このタイミングで仕事がなくなったら終活は大変だろうなと漠然と明瞭に想像だけができて
どうしたらよいのか全く見当もつかない。
このまま今の仕事が続けられるとして、
しかし医療や、人々の生活といったもっとこう生命に係る何かに社会の投資があるべきだといったような
3.11の後にも悩んだことをまたもう一度考えだそうとしている脳みそが辛くて
何故ならその答えと自分が仕事としてやってみたいことが同一ではないからで、
ここではないどこかに行きたくてNetflixKindleを徘徊している。

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The 100を見て
ヒロアカを見て
ハイキューを見て
ヒロアカを読み
BLをいくつか漁って
Youtubeで料理番組をぼーっと見ているうちに、
時間が手持ち無沙汰になりのたうち回っていた。

現実世界ではない何かの世界に埋没したい。
結果Twitterのフォロワーさんのお導きに従ってShadowhuntersを見ました。

1話を見て脱落したことのあるシリーズで、
その脱落理由も明確に覚えていたのだけど、そこでは全く引っかからなかったお二人が良いということで邁進。
AlecとMagnus。
一つのシリーズを完走したのは久しぶり。
最後は突然のキャンセルにも拘わらず、
詰め込み感は確かにあったけど、
きちんと全ての人物と彼らの物語を着地させていて、制作側の献身を感じた。

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総じて言うならもったいない作品だと思った。
世界観に確固たるルールと文化と伝統が感じられて、キャラクターもしっかり際立っていて、
ホントにいろんな形の物語にできたと思う。
動画やFanficを少し漁って見ると
そもそもの原作と、そのファン層を大事にした思いやりのある制作物であることを理解できるので
一概には言えないけど、
でももっとTV向けに作って良かったと思う。

全てのシーンを全集中で見たわけではないけど、最後まで見終わって、私の主人公はAlecだった。
これはなぜなのかをいろいろ考えてみている。

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予算にも利害にも縛られない私のイメージの最果ては、
AlecをリードにしたCSI: Shadowhuntersみたいな構成にして、
そこにJaceがClaryを連れてきちゃったところから始まったらいいと思うんだよ。
だって放り込まれた先の文化を大事にできない主人公は見ていてつらい。
つらかった。
せめてClaryが、こんな世界があるなんてすごい楽しい面白い!を表現できていたら良かったと思う。
その世界を見せてあげるJaceがもうちょっと案内役として機能していればもっと良かった。
説明はしてたけど、案内って感じじゃなかったんだよ。
もっと誇りと自信を持った、オレの世界を見せてあげるよ感が欲しかった。

全体的な関係性の全てはSeason 2Aが私は一番しっくり来ていて、
ClaryとJaceは、戦友関係が一番見ていて萌えた。
あの二人は、役者さんの得意分野からあまりにもかけ離れたキャラクターだったのがホントにもったいなかったと思う。
・ホントに嫌々ながらペアを組まされていて、
・お互い自分こそが絶対に正しいと思っているが、
・相方が自分に黙って死んだりしないことを背中合わせに知っている
ような、男前な類の関係性があったら絶対に面白かったと信じてやまない。
キャラクター上はそういう設計だったじゃん、絶対。
それなのにこの二人は混ぜると甘い、優しい、みたいな方向に導いたからおかしくなったと思っている。
結果的にくっつくのかくっつかないのかやきもきするみたいな二人で良かったんじゃないかなって。

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まぁ、主演のふたりをその程度に据えられるくらいにはAlecとMagnusにやられたんだなと
分かってはいるんだけど。
Malecかぁ(溜息)。
なんだかいろいろ凄い二人だった…。
どこから凄くなったのかが分からないのが心底不思議でもある。
彼ら以外の物事のおおよそを憶えていない。

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Alecを主人公のように思ったのは、
人物として出来ることが一番増えたと思うからなんだよね。
努めてもたらされた変化が一番顕著だし、
いわゆる成長という意味ではAlecがもっとも、「できるようになったこと」がたくさんあると思った。

s1は、正直Alecの役者さん下手だなと思っていた。
いや、へたくそと思ったわけじゃないけど、上手だとは思わなかった。
感情表現がないというか。

喜怒哀楽の表現に慣れていないというAlecの人物設定の思惑は伝わるけど、
実際の彼の心情の動きは、見てる側の想像力に頼って語られている部分が多かったと思うんだよ。
それがさぁ...

まあホントに不思議でしかないんだけど、
いつの間にかほんのちょっとの仕草とか、ホントに瞬間的な口元の動きとかで
何だかAlecのすべてが分かるようになっていて、
最終話ではもう、機微な喜びや幸せに共鳴できるくらい身近な存在にだったんだよね。
我が身に何があったのか心底謎なので、もう一度見なくてはと思わせるくらい。
いつからこんなことになったんだろう。

s2x18の"There must be something in the air."のあとの、
ほんのわずかな、
笑顔とも呼べないくらい、
ひくっと顔の筋肉が動いたあの瞬間は凄かった。

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色々見ていて、
ひょっとしたらMalecの全ては
Magnusを演っていたHarry Shum Jr.のせいなのではないかという結論に行きつく。

s1x06でMagnusには、
上手く自分の感情や興味を説明できずに言葉に詰まるAlecの口元に人差し指を立てて黙らせて、
"I understand."とだけ言う場面がある。
聴き及ぶところによると、あの人差し指はHarryのアドリブらしい。
Alecを演じているMatthew Daddarioの目は、あの指を追って、ほんの少し笑った。

あの人差し指は、
私のなかではMagnusという人物を造形するうえでとんでもなく重要な仕草だった。
作品がついに終わるまで、ふわっと触れられるだけに終始した、
彼の長寿とそれに基づく余裕や貫禄のような何かを見せつける、重要な場面だと思ったんだよ。
無理はしなくていいんだよ、っていう。
でも君が話したいのならちゃんと聞こうっていう。

When you speak, I will listen.は、この二人の物語の全てであると信じている。
そうするだけの時間がMagnusにあるから。

あと、
そもそもMagnusがはだかである必要なんて絶対になかったあの
バルコニーのシーンについて。

結果的にHarryがアドリブでMattの襟元を直してあげるくだりに通じるのだけど、
あの時のAlecの笑顔は、
思い返すに恐らくAlecの最初の笑顔と呼べる笑顔なんじゃないかと思うんだ。
不用意に顔の筋肉を緩めたらああなった、という類の、安寧。

Alecが安心して笑ったらああいう顔になるんだ、という
みんな想像したけど知らなかった、とある人物のとても重要な何かを引き出したHarryの勝利だと思うしかない。

こういう表情ができるキャラクターとして解釈していいんじゃないかと、
制作陣も本人たちもあそこで知ったのかもしれない。それくらい新鮮だった。

率直に言って、s1のMalecを見ていた時、
この二人のことを私は、
s3のMalecが出来る技量の備わっている役者さんだとは思わなかったんだよ。
それがどうだろう奥さん、
見てごらんなさいよ!
あの最終回は神の祭壇に捧げたい。

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Harry Shum Jr.の凄いところは、
Magnusの体幹の強さだと思っている。
物理。

必ずしも画面上で大した動きをしたわけではないのだけれど、
あの姿勢の良さと、
何事にも決して屈することのない首筋がまっすぐに天を向いている事実は
やっぱりとても素敵だと思うんだ。

物語が移ろう中でMagnusは
比較的守られる側に収まることで
彼本人の人物の意外性を見せる必要に迫られることが多かったと思う。
何百年生きてきても認めることができない自身の側面があるということと、
その側面をAlecが愛するということの美しさは確かに魅力的だ。

でもそれをMagnusの弱さだと誰も思わなかったと思うんだよね。

ソファーに座って義父の話をする場面で、
Alecの手が近づいてくる時、
Magnusが物凄い怯えた顔で首を一瞬引く。
でもThere's nothing ugly about you.と言い聞かせるように説明する時
Alecの大きな手がその首筋をしゃんと後ろから支えてあげていて、
そこがとても好き。
あのシーンはすべてが好きだ。

Magnusの優しさの中に住む強さのすべては
Harryの細やかな表現と
やっぱり自信に満ちたように見える佇まいというか、
立ち振る舞いの形に集約されていると思う。

結婚式の時の、誓いの言葉を言い始める前の、
「どうぞ?」というほんのわずかな眉の動きがどうしようもなくMagnusだった。

ほんとは怖いんだけどね。たぶん。
自信があるんだ。
でも不安もあるはずなんだよ。
何もかもがすべて上手く行くわけではない。
それを知るだけの年月を生きている。

でもMaryseから
頬にキスを貰い、抱きしめてもらうようなハグを貰って
逆らうことなくただそれを受け入れるMagnusを
幼い子供のようだと思ったし
同時に母親を思い出そうとするひとりの男性だとも思った。
そういう純真さが、Magnus Baneなんだろうと頷く。

永遠の命を持っていても、
際限のある愛を大切にしそうな男。

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正直、
作品の前半は脳みそ半分で見ていた部分が多いので、
日本語字幕を付けてもう一度ちゃんと見てみたら面白いかなと思っている。
あのs1の二人(AlecとMagnus)が、
最終話の二人にどうやったらたどり着くのが未だに不思議でしょうがない。

声も違えば表情も違う。
そういう瞳の光り方が出来たのねという分子レベルで、表現の幅が違った。
あれは撮影班の技術的な援助なのか
役者側の段違い的な進歩なのか
分からないけど
肝心なことは、その変化を視聴者である私が信じたということなんだよなぁ。

面白いものを見届けました。
片手間にみて、
?!?!?!?!
となるのが楽しい作品だとも思った。

機会があればどうぞ!
どぼーん!