ONE VOICE

     * ONE LOVE + ONE LIFE + ONE VOICE *        笑っていれば、イイコトあるよ  

SN: 5x06 I Believe the Children Are Our Future


*Supernatural Season 5 (日本ではまだ未公開)の Reviewです。*
*ネタバレあります。*
*避けてらっしゃる方は以下ご注意。*








久しぶりに出だしがCreepyで楽しかったです。s3以前はMotW(Monster of the Week:ひとつのHuntで一話が完結するエピ)のエピソードの連なりでシーズンが構築されていたので、こういう始まり方も頻繁にありましたけど、最近は怖いとか不気味とかよりも、とりあえず「何だ何だ?」という始まり方が増えていたので、なんだか新鮮でした。懐かしくてほっとします。そしてドキドキする。・・・私、言ってること矛盾してる(笑)。

さて、正直な話です。
私はSamについて、「Evilになるかもしれない誰か」と共鳴させて彼のBack storyを彫る、という描写の仕方に、正直飽きております。何回やれば気が済むんだ。もうそれは分かったよ。残念ながらこのやり方では、Samについてもうあんまり新しい発見は出来ないと思うのですよね。

私が思うに、Supernaturalは選択をしながら生きていくことについての物語です。だからこれだけちんけなホラーみたいなことをやっても、その世界に生きているキャラクターの生き様に重みと真実味がある。いなくなった父親をひとりでも探せる能力があるのに、弟を訪ねることを選んだ兄、というただそれだけのことが、Deanという人間について、丁寧に表現してくれる。この物語は単にキャラクターが下す決断を並べるだけではなくて、その決断に至るまでを非常に丁寧に扱ってくれます。それは言ってみれば、例えば日本人で茶髪のキャラなんて、茶髪だからといって取り立ててキャラクターに深みが出るわけじゃないわけです。髪の毛なんて染めれば誰だって茶髪になる。だけれど、どうして茶髪に染めたのか、なぜ茶色なのか、というところを掘り下げることによって、人物として面白みが増すわけです。SNはそこが上手い。ずば抜けている、と私は思う。特にDeanに関してはそこが徹底していると思うのです。しかし正直、Samを扱いきれていない印象が、特にs4から強い。そして今回もまた手抜き、というかなんか簡単な道を選んだ感じがするよ。どうなのそれ。

私はs2のHouses of Holyが好きです。最後の結末(特にDeanのセリフ)はあんまり納得がいかないのだけど、エピソードを通じてSamが自分の行動で自分の想いを表現するのが好きだし、最終的に伝わりきらない真意の裏をDean問われて、彼の言葉で説明される真実は新しかった。そこ見受けられたSamの、Deanに対する強い信頼と、未来に対する怯えは、その後の彼を構築する要素として重要で、だから意味があるのです。

私たちは、Samが最後のSealを破ってしまったことを後悔していることを知っています。信じてはならない人や物や言葉を信じて、帰るべき場所に帰らず、してはならないことをした、ということを、頭のいい彼が涙が出るくらい痛感していることを、私たちは分かっている。だからそれを他人の境遇に委ねて、間接的な表現を用いて、も一回描写する、というしつこさが、私はどうにも気に食わなかったわけです。Jessieという子は、演技も上手かったし、キャラクターとしても、いつでも都合のいいときに呼び戻せるという利点と将来性があって、物語の中ではうまく機能していくと思うのです。そしてこれとSamの話を連動させることは間違っていないと思う。ただ、これを、例えばSamとCastielとの口論のシーン後に、DeanとSamのモーテルの中、もしくはImpalaの中での会話として、「僕は彼に、正しい選択をして欲しいんだ」とか、「悪魔の血に冒された人間にも、正しい選択が出来ると信じたい」とか、そのことを、Deanに直接言って欲しかった。それこそが、s4のSamには出来なかった言動だと思うからです。今のSamなら、そういう言葉を、Deanに対してお話出来るような気がするの。そういう関係性に戻っていく最中だと思うのです、今の二人は。そしてその一歩を、このエピソードで踏み出してもよかったと思うんだよ。

このエピソードで何が一番可笑かったかって、Casitelがwhoopie cushionに座った時です。よもやまさかって感じですよ(爆笑)。そのタイミングでそれかい! だけど、何が一番嬉しくて、何が一番腹が立ったかというと、それはどちらもその直後のSamとCastielのシーンでした。私は前も言ったけど、SamとCastielのInteractionには無限の可能性が秘められていると思っています。この2人は面白くなるよ。Did you see how they fought? That was awesome. DeanがSamを諌めながら腕に触れるところも何故か好きです。というか、SamがHotだった(笑)。JaredがああいうSuite姿で激情するときは(s4のYellow FeverでYellow Eyesになった時とか)何かイケナイ物のようにHotです。あーかっこいい(笑)。しかし私は、どうしてもCastielが理解できない。When the Levee Breaksで、SamをDemon Panic Roomから外に出したのは、アナタよ? Samはアナタがあの扉を開けなければ、Lilithを殺したりしなかったし、DeanだってきちんとSamをAddictionから開放してあげられたかも知れないのよ? Castielは確かにAngelに歯向かって今はWinchesters(特にDean)と当面の目的を同じくしていますが、それ以前はSamを利用して世界を終わらせる一群に名前を連ねて行動だって共にしていたわけです。そして結果Apocalypseが始まったわけで。・・・そこにGuiltはないのかお前。

ということで、私にとっては終盤で酷く失速したエピソードでした。新しいキャラクターが出てきて消えていった、ということ以外は、何の進展も発見もなかった。もし例えばJessieが今後も話に加わっていくとかならともかく、これでは完全に元の木阿弥です。何だったのこのエピ。これが例えばs2に入っていたらそれなりに成立していたと思うんですよね。最初にも書いたように、MotWの話が続いていたあのころなら、こういう展開は珍しくもなんともなかったし、むしろSeason FinaleとかにJessieが戻ってきて、上手い具合にWinchesterに味方してくれるとか、そういう展開も悪くない。だけどs4からここまで、SNは明らかにスタンスを変えてきました。簡単に言えば、エピソードよりもシーズンに掛ける比重が重くなった。今この段階で、この運びは、どうしても足踏みしているようにしか見えないわけです。Luciferをやるのなら、そちらを大切にしていったほうがいいと思うし、大切にするのなら前に進めていかないとだれる。

英語圏ファンの間でも、実はAngelのStory Arcがとても好きな人と、とても嫌いな人とに別れていて、それぞれ、s4を最高のシーズンと考えている人と、s2こそがピークだったと思っている人に分かれます。この二つをどちらも喜ばせよう、という考え方はちょっと甘いんじゃないかな、と思う。私は実は後者に当てはまりますが、s5の始めの4エピソードはいいセン行っていたと思うのです。この際腹を括ってLucifer Arcにこだわり続けてもいいんじゃないか、とか思っています。がんばれKripke!

パチパチする。